質問失礼します。解離がない愛着障害もいるとスタエフで言われてた記憶があるのですが、解離やトラウマの自覚症状がない場合もありますか?YouTubeで観た心理士さんの動画で解離があり感情や感覚が麻痺してるほど治療には時間がかかると説明があり、ならば解離やトラウマの自覚が無かったら更に時間がかかかるのだろうか?と思ったのですが。
この質問を考える前に、まず解離というものを理解しておく必要があるでしょう。解離という症状は、かなりの幅広いグラデーションがあるからです。
■軽い解離と重い解離
解離には2パターンあって、比較的軽い解離を【離隔】と呼び、重篤な解離を【区画化】と呼びます。
たとえば、ボーっとしている状態や幽体離脱、鏡を見ると知らない人が映っているなどは軽い解離に入ります。重くなってくると、気がついたら自分が見知らぬ場所にいたとか、交代人格が出てくるようになります。
重い解離を起こす人は、日常的に軽い解離も連続して起こしています。まさに解離オンパレードのような世界を生きています。
このようなグラデーションがある上に、病的な解離だけでなく「創造的な解離」もあるわけです。
DSM-5に見られる解離性障害は、重篤な解離(区画化)が記述されていますが、実際、軽い解離(離隔)で悩まれている方のほうが多数派でしょう。
詳しくはソレアの記事をご覧ください▽
■愛着障害と解離
愛着障害と解離のことを考えると、
・目に見える虐待(性的、身体的、心理的、ネグレクト)を受けてきた人は重い解離
・目に見えない虐待(情緒的ネグレクト)を受けてきた人は軽い解離を起こすことが多いと言えるかもしれません。
また【情緒的ネグレクト】は、自分でも自覚できない人が多いので、自分が解離しているという自覚症状がないでしょう。さらに、この情緒的ネグレクトがトラウマだと思っていない人も多いです。これは心理職や医療関係者の人々でさえ、そうなのです。
■解離と治療時間
重篤な解離の場合、その重篤性ゆえに時間がかかるのは当たり前ともいえるでしょう。しかし軽い解離の場合も、当人が解離していることがよくわからないので、解離していることをイージーに扱ってしまっていることもあります。その場合、軽い解離の場合でも時間がかかります。質問者さんのご指摘の通りです。
たとえば、わたしの体験では、
・複数の人格を出す解離性同一性障害の人の場合、解離しなくなるまでに数年はかかりました。
・顕著な解離症状はないけれど、情緒的ネグレクトを受けていた人は、愛着障害であることを否認する力が強いので、それも治療に時間がかかりました。
つまり、重篤な解離であっても、軽微な解離であっても、それが愛着障害とからんでいると治療には時間がかかるということです。