Kindle本140頁「目に見えない情緒的ネグレクトがあるこのヒトたちこそ、愛着障害グレーゾーンと言ってもいいでしょう。」は高間先生の最新の臨床見解でしょうか?以前から先生の発信で学ばせて頂いてるのですが情緒的ネグレクト=愛着障害グレーゾーンとは思っていませんでした。
愛着障害グレーゾーンは稀で原因になる親は情緒的ネグレクトの程度が激しいASD(IQ100以上)であり「基本的信頼感は形成されてるが継続的な情緒的ネグレクト状態にあった」と理解していました。情緒的ネグレクトの原因になる親は軽度知的障害(IQ65前後)で愛着形成はできず情緒的ネグレクト単体でも基底欠損であり愛着障害グレーゾーンではなく愛着障害だと思っていました。また境界知能(IQ85前後)の親は身体的虐待など目に見える虐待をする傾向にあるとも読ませて頂いてた記憶があります。
まとめると私の理解では、グレーゾーンの原因になる親はIQは普通域100以上で愛着形成は出来るがasdの特性が強く出で情緒理解が不十分で基本的信頼感形成後の子供の成長に伴う複雑化する情緒信号を見落とし続け継続的な情緒的ネグレクトになっていき愛着障害グレーゾーンとなる、との理解でした。
今回のKindle本を受けての質問タイトルに戻りますが、目に見える虐待はなく、目に見えない虐待だけの場合(情緒的ネグレクトだけの場合)、愛着(基本的信頼感)は形成されてるという理解でよろしいでしょうか…?訂正頂けましたらありがたく細かい質問を申し訳ありません。
回答が遅くなってすみません。ソレア質問箱はみなさんの質問で育ってきている場所ですので、今後も頻度は遅いかもしれませんが、必ず返事をしますので、お待ちください。
虐待について整理してみると良さそうです。
・目に見える虐待を受けている場合は、当然のこととして、目に見えない虐待も受けている。
・目に見えない虐待は情緒的ネグレクトである。
・目に見える虐待は、性的虐待、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクトである。
この定理から考えてみるとどうでしょうか。結論は、情緒的ネグレクト=すべての虐待にある。つまり情緒的ネグレクトは、愛着障害にも愛着障害グレーゾーンにもある、という当たり前の結果になります。
強調したいのは、愛着障害グレーゾーンも愛着障害なのです。発達障害グレーゾーンという言葉もありますが、発達障害グレーゾーンの意味は、発達かどうか微妙だねという使われ方をします。それに比べると、愛着障害グレーゾーンは、迷いなく、愛着障害なのです。
そして情緒的ネグレクトをもたらす親側の原因としては、
・ASDの程度が大きい
・統合失調症型の人格障害がある
・愛着不全の程度が大きい
・その他
などがあり、これらはIQでは計れないところがあります。例えば、IQが130あるが、発達障害でもないのに人格障害の人もいます。ただ、ASDの人で普通域のIQ以上の人だと、情緒的ネグレクトにならない場合もあるのは事実で、それだと何をパラメーターにすればいいのか?という問題もあるでしょう。これは今後の知見を待つしかないのかもしれません。
質問者さんの質問へ戻ります。「目に見えない虐待(情緒的ネグレクト)だけであっても、愛着(基本的信頼感)は成立していない」と考えるのがスタンダードです。しかし例外として、「薄く」愛着が成立している場合もあるが、その場合も愛着が成立していない状態に準じるというのが、愛着障害グレーゾーンの考え方です。
繰り返しになりますが、この愛着障害グレーゾーンは高間の独自の臨床観ですので、他では通用しません。またこのグレーゾーンはかなり専門的な判断を必要とするので、愛着のカウンセラーでもない場合、上のスタンダードだけ理解していれば十分ではないかと思います。