はじめまして。半年ほどROMさせていただいてました。読み手としてはカウンセリングに取り組んでおられる方々、とくに難しい愛着障害の方の生の声は大変勉強になります(親密の恐れなどかなり難しいのでMusiさんの質問箱は大変勉強になりました)ですが、高間先生は回復途上のことは開示されない方が良いとお返事されてましたが、それは愛着障害の安全感は薄皮のようにとても薄く、すぐに剥がれて流されてしまうという理由からでしょうか?
安定型や愛着不全など基本的信頼感があり、親密の問題がなく繋がりによって安心を得られる場合、治療過程をblogやSNSで記録開示することは大丈夫でしょうか?私はカウンセリングに限らずモヤモヤを言葉にして、何らかの人の目にふれる形でアウトプットしないと悶々としてしまうので、止めることが難しいです。こういう人間はどうしたら良いでしょうか…?
この質問に回答していくには、結構難しいところを歩かないといけないので、わたしの回答が回答になるかどうか分かりませんが、なんとかご返事をさしあげます。
回復に乗ったときというのは、非常にアンバランスになりやすいのです。確固たる自分が出てくるまでは、できるだけ薄氷を上を歩くようにソロソロと行かれるのがよいでしょう。
ですからアウトプットしてしまうと、良きにしろ、悪しきにしろ、余計な雑音が入ってくるので、氷が割れて冷湖に落下してしまう危険があります。
このSNS時代にはそういうことへの細心の注意が必要に思います。20年前ならアウトプットしても誰も読んでいなかったかもしれませんが、今はそうじゃないですからね。
愛着障害の方の感じ方については、今執筆中の本に満載されていますので、そのうちにお目に触れると思いますので、そこから何かを感じとっていただければと思います。
■回復期をヒミツにする理由
でも、これは愛着障害に限ったことではありません。他の方々も同様です。自分のカウンセリング過程を大切にして、秘密にしておいたほうがよさそうです。
公言すると、何か変な力が働いてしまう感じがします。スピ的な話になりますが、良いことが起こらなさそうに思います。何か悪いことが忍び寄ってくるような。自分を励ます意味で公言してしまうのでしょうが、それをやることで良からぬ世界へ迷い込んでしまうように思います。
そのくらいカウンセリングというのは微妙な力関係の中で動いているものなんですね。
このように、もう何十年も前から言い尽くされてきたことですが、回復期は注意しなければなりません。何がどうなるか、そんなリスクが増大するのです。カウンセラーはこのことを知っていても、ついつい気分も緩みがちになります。自分のこころのタヅナをしっかりと持って、回復という難局を乗り切っていきましょう。
■カウンセリング空間は、誰にも完全にはコントロールできない
話は変わりますが、カウンセラーがカウンセリング空間をコントロールしているかというと、それは5割くらいかもしれません。目の前の人の見立てが間違っていなくて、経験豊かなカウンセラーであっても、このコントロールは半分。残りの半分は、色々と工夫してスピ的なものへお任せしているのかもしれません。
たとえば、ソレアの箱庭に座らせている一対のシーサーの意味、ドアの目の高さに張り付けているカメレオンの意味、それぞれに意味があります。彼らに任せているところはあるのです。わたしのカウンセリングは今回は終了、あとはよろしくね、そんな意味も込めています。
彼らがその後、うまくやってくれているかは分かりません。さぼっているかもしれませんが、それはそれで意味のあることだと思っています。
■それでも何かを記録しておきたい人へ
自分の鍵アカを作って、そこに放出しましょう。そしてカウンセリングが終了したら、その鍵アカの内容を公開するのでも構わないでしょう。キーになるのは「誰にも見られない」という安心感です。
ヒミツにしておける安心感、これが自分を守る行動につながっていきます。精神的な成熟へ向けて歩いていけるでしょう。