こんにちは。少し古い記事ですが興味深いものを見つけました。https://www.theguardian.com/science/2020/aug/03/children-who-suffer-violence-or-trauma-age-faster-study-finds
これによると暴力やTraumaにさらせれてる子供は思春期が早まるそうです。思春期が早まる理由ははっきり分かっていないようですが、京都大学の明和政子によれば
、、、、生存するためには、早くに身体を発達させて、独立した状態で環境に適応するしかないのです(図5‐6)。こうしたことが、不適切な養育経験を受けて育った子どもたちが思春期を早くに迎えることの背後にあると考えられます。(『ヒトの発達の謎を解く ──胎児期から人類の未来まで 』p,173)
だそうです。
記事とは脱線するのですが、思春期が早まるということはそれだけ身長が伸びる期間が短くなるわけですので、被虐経験のある成人は結果として低身長になるということになります。
これは高間先生の臨床経験と一致するのでしょうか?愛着障害の方は低身長の傾向が強いのでしょうか?
尚、アメリカ心理学会の専門誌に発表されたある研究によれば、身長が1インチ(2.54cm)高くなると、年収が$789(約10万円)増えるという結果が出ているそうですし、大統領候補にはblack Americanが選ばれることはあってもshrimp が選ばれることはあり得ないと言われているそうです。
子を持つ身としてはいわゆる親ガチャという言葉は好きになれませんが、精神的にも肉体的にも生まれた家庭環境の呪いは子供時代にとどまらず一生左右する可能性が高いということなので暗澹とした気持ちになりました。
子どもの成長曲線は有名でしょう。日本小児内分泌学会のものを張っておきます。
低身長、低体重の場合、ネグレクトが行われているかもしれないと、健診時に養護の先生などは注意するかもしれません。われわれ心理職も同じです。子どもの定期健診で、親御さんの心理相談に入るとき、お子さんの発達のチェックだけでなく、親からの虐待の可能性も見て行くわけです。
この場合の低身長は、栄養が与えられていないことによる成長不良ということになります。
■身体的な思春期
被虐児の(身体的な)思春期が早まるというのは、わたしの経験と一致しています。思春期が早まるために、発育が活発になるのです。たとえば第二次性徴が促進されます。ですから、普通の子どもたちよりも成長が早く、身長も高くなる可能性があります。
もちろん被虐児はすべてそうだ、なんてことは言い切れません。そういう子どもたちがいるということですね。性的虐待を受けている子どもの中では、小学校へ上がる頃には、色気のようなものを醸し出している子もいるのはよく知られた事実です。
ただ、第二次性徴が早まるというよりも、身体の防衛反応として、性的な暴力を受けないようにするために、体毛を発育させたり、激太りしたりするほうが多いかもしれません。自分に興味を向けられないようにする戦略が取られやすいです。
■精神的な思春期
被虐児は人生の早期でつまづいていますので、精神的には乳幼児期で止まっています。なぜなら世界に対しての基本的信頼感がないからです。
ですから精神的な思春期は訪れません。でもそれではやっていけないので、かりそめのものを構築していきます。かりそめの思春期からかりそめの成人期へ。
そして被虐児はこの「かりそめの成人期」に入る時期も早いのです。雰囲気が老成している場合があります。中学生にして老人のような趣味があったりします。骨董とかお寺めぐりとか座禅とか。しかしこれはすべてかりそめであって、いつかそれも崩壊していきます。
かりそめムードが崩壊してきたら、それは真の成長に向かって進みだしたということでしょう。しかしこの道はいばらの道であり、長く曲がりくねった道です。かれらがいつか治療へつながることを願ってやみません。