患者はカウンセラーさんをどう見ればいいのでしょうか。先生に近いのか、母親または父親に近いのか。
カウンセリング概論というものが臨床心理士系の大学院の授業であります。そこで最初に学ぶ内容に、カウンセラーと相談者の関係性があります。大きく分けると次の2つになります。
- ➊先生と生徒の関係
- ❷同じ平等な人間としての関係
カウンセリングは❷の関係で進みますが、ともすれば➊になったりすることに注意しないといけない。カウンセラーは❷をキープできるようにと、学びます。そしてこの関係に一生涯注意しながらカウンセリングは精緻化していきます。
医者と患者の関係も、注意しないとすぐに➊の関係に変化していってしまいます。また初めから➊の関係からスタートするものもあります。例えば…
- 森田療法
- 精神分析
- アドラー的カウンセリング
- 認知療法、認知行動療法、行動療法
- SSTなどのトレーニング
- マインドフルネスなどのトレーニング
心理教育やトレーニング的なものは❷から離れやすいのでカウンセラーは注意が必要です。トレーニングや教育をカウンセリングの中でやることもありますが、それは一瞬であって、恒常的にならないことが大切でしょう。
ここを踏まえて相談者はカウンセラーをどう見るかですが、「人間」としてみればいいのです。先生ではないことは確かです。
(学派によっては、異論が出るかもしれません。しかし一番重要なことは訓練ではなく受容できるかどうかですから。)
では母親、父親なのか?これはカウンセリングが進んでいくうちに、母親になったり父親になったりするでしょう。しかし最終的には「友だち・親友」になるのではないでしょうか。
コフートがいうところの、鏡自己対象と理想化自己対象を行ったり来たりしながら、最終的には双子自己対象に落ち着いていく。そのようにカウンセリングが進めば、終結も視野に入ってくるでしょう。
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