先日は愛着障害の症状のグラデーションについてお答え、誠にありがとうございました!早速参考図書(ハーマンの方)を予約させて頂きました。
またまた先生のサイトで学んだことと今まで知った心理学との違いについて以前からの疑問符が頭をもたげることがあり質問箱失礼します。ちなみに私は心理職でも心理職を目指してるのでもなく日々悶々とする一般人です。のでSVでもないのに心理のツッコミ質問を申し訳ありません。もし聞きすぎでしたら不採用でももちろん大丈夫です!
それで質問なのですが先生のサイトでカウンセリングとは「相談者の心理発達(精神年齢)を実年齢に引き上げて現実で生きていく力をつけること」と理解させて頂いたのですが、本屋で平積みになってる簡易?心理学本とか、昔自分が受けたカウンセリング(トランスパーソナル系?)では「本来の自分を思い出す」「自分らしく生きる」など、心理発達ではなく「童心を思い出して、それを生き直す」がテーマだったなと、思いました。世の中の心理学は、ほぼそんな印象があります。トランスパーソナル系の臨床心理士さんにも子供の頃とか聞かれて、その頃やってた習い事をまた勧められて確かにそれで数年は元気で居られたのですが、やがて頭うちになってもう長いこと悶々おして心理学難民になり、ソレアさんのサイトに辿りつきました。
本当の自分、その人らしさ、とか巷の心理学界隈では耳タコな文言をソレアさんの文章では見た記憶がありません。先生はそこらへんどうお考えなのかお聴きして良いですか?ちなみにこの質問のきっかけは最近、吉本ばななのエッセイ『「違うこと」をしないこと』を読んだら自分らしさを守れ的なことで、この問いが改めて浮上して質問させて頂きました。
カウンセリングの本質に迫る質問をありがとうございます。実はわたしも、「自分らしく生きる」という視点を重視しています。そうは見えないかもしれませんが。
■カウンセリングの目的は精神年齢を上げること
カウンセリングとは「相談者の心理発達(精神年齢)を実年齢に引き上げて現実で生きていく力をつけること」
これはまさにその通りで、精神年齢が乳幼児、学童期、思春期の人々は、その発達年齢を上げていくことが必要です。そうしないと成人として社会参加から取り残されてしまうからです。
ただ、精神年齢を引き上げることは容易なことではありません。そのために本当の自分に出会っていく体験が必要なのです。
- 抽象的に表現するなら、精神年齢を上げて、現実適応能力をつけていくこと
- 具体的に表現するなら、いないことにしてきた(本当の)自分に出会って、彼を救済していくこと
- では、もっと具体的には…いろいろ方法あります。マインドフルネスもそうですし、ハコミセラピー、レジリエンスや自己肯定感もそうですし、催眠やハイヤーセルフもそうかもしれません。ここに様々な心理療法が入ります。
こんな感じですね。世の中では③が分かりやすいので、③ばかり強調されます。しかし③をやるのは、②を達成するため、ひいては①を実現するためです。
■ Solea me ということ
ソレアのWebサイトのURLは solea.me です。これは、ソレアのトップページで解説しているように、
WebサイトのURLである Solea.me は、自分を陽の光のもとに帰すこと──つまり、回復を表現しています。
自分を太陽の下にさらすこととは、本当の自分に出会うということであります。いないことにして損傷を受けてきた本当の自分に出会いに行こう。それがソレアの名に込められた願いなのです。
ですから「自分らしく生きる」と同じことなんですね。
■吉本ばなな『「違うこと」をしないこと』
この本は読んだことはありませんが、タイトルからコフート的に想像すると次のような解説ができます。
- 違うことを肯定するのが、母性と父性
- 同じことを肯定するのが、双子
そうすると違うことをしないというのは、同じことをするということで双子のことが書かれている本でしょうか?
でも、自分らしさを守れということでしたら、違うことをしないことを批判しているようで、違うことを肯定しなさいという主張でしょうか。それだと母性とか父性の話になりますね。
人は生きていくためには、母性、父性、双子が必要です。
よければこの質問の最後にコメントを付け加えていただくとみなさんの参考になります。
最後に、ハーマンの「心的外傷と回復」は超良本ですので、ゆっくりと味わってお読みください。
吉本ばななの本の真意についての考察ありがとうございました。あなたのコメントを読んで彼女の本を読みたくなった人もいるのではないでしょうか。
Solea.me は、自分を陽の光のもとに帰すこと
話はズレてしまうのですが、このように自分で書いていて、何か気になるなと思っていたら、「ソラリスの陽のもとに」を思い出しました。スタニフワフ・レムのSF小説です。
Solaris とはラテン語で「太陽」という意味であり、Soleaも同じ意味です。そうか、SoleaはSolarisだったか!と少し嬉しいです(意味わかんないですよね笑)。そして偶然か、ソラリスの主人公は心理学者でした。
意味わからなくないです笑。ソラリスは心の奥底が実体化して繰り返し繰り返し来訪しますね。こんな恐いことないでしょうが、好きです。それは心の救済の構造(だいぶホラーな切り口ですが笑)が書かれてるからだと思います。まさしく「自分を陽の元に帰す(葬り去った自分を)」と思ったのですが、先生が言われたのは語句のシンクロニシティの方ですよね。ストーリーの方のシンクロで考えちゃいました。と、またまたレスレス失礼しました!ラジオ出られるのですね、楽しみです♪ それでは。
ノートに詳細なリライトまで…恐れ入ります!
お返事ありがとうごいました!まず先生のご発信をだいぶ自分フィルターで解釈してたな思いました^^;。solea.meのURLの意図を何度となく拝聴してたのに。弁明としては(笑)サイト記事「自己実現と自分を笑えるということ」を拝読してから、日々押されたくない背中を無理やり押してくるような「好きなことで生きていく!」みたいなフワフワした自己実現風潮にサッと距離を置けたことが自分の中でとても印象深くて、ソレアさん全体のメッセージを見落としてました。
回復として自分らしさを取り戻すことと、もっともっとという経済成長のごとき自己実現は全く違うことですよね。でも私のように一緒くたにしてる人って沢山いそう…って思いました。
それは先生がコフートの視点で推察して下さった吉本ばなな『違うことをしないこと』も同じで、改めて彼女の本についてのインタビュー聴いたら吉本は先生のご回答の❷ 「具体的に表現するなら、いないことにしてきた(本当の)自分に出会って、彼を救済していくこと」を書いてるんだろうと思いました。
たしかに彼女の本の人気ってそこだろうと思うし実は私は昔から彼女の本が苦手で(笑)それは❷を体現する主人公達の強さが恐いからです(眩しいともいいます)
本の帯には「違うこと」とは、“その人の生き方の中で、今ここでするべきではない”こと。とあります。
これは厳しい姿勢で、吉本も「武士道みたいなこと」と言ってますが、同時に社会に生きる〝体〟がある限り「違うことはしてしまう」それは避けられないから仕方ない。そのズレを楽しむ気持ちで少しだけ「違くない方(本当の自分)」寄りの選択をしてみよう。夕飯のカレーにはジャガイモよりサツマイモを入れたいんだよなとか、そういう小さい自分の中の声を積み重ねていこうよ、という感じでした。
コフートの母性、父性、双子でいくと、父性(社会性)を踏まえた上で母性の再援護、そして自分の中の双子(あるいは双子に出会える準備運動)への提言みたいな本なのかなぁと思いました。お答えが嬉しくて急ぎの長文乱文でまた誤読(コフートのくだりとか)あるかと思いますが。