私は子供の頃から説明が下手で、聞き役に回ることが多かったためか自分が話す番になると、吃ったり間が不自然に空いてしまったりという悪循環に陥ります。 また伝える努力より「何でもない」とすぐ言ってしまう癖もあります。そんなこと言うくらいなら最初から言わない方がいいのに、たまに言いかけてやめてしまうことがあり、そんな時の相手の顔は、あまり見ていたくありません。
小学生の頃から国語の読解問題が苦手だったり、その他の勉強も押し並べて出来なかったので、知的な問題を疑ってます。それで抑うつ感の相談などで心療内科行った際に、何度かその悩みも伝えてはいるのですが、何しろ説明が下手なので、どの病院でも伝わらず知能検査はまだ受けていません。もし知的な問題があるなら子供を愛着障害にしてしまう恐れがあると、高間先生のnoteで学ばせて頂いたので、いつかは向き合わなければと思ってます。
ソレアさんには私のような懸念で相談に来られる方もいらっしゃいますか? その際に説明が要領が得ない場合、ヒアリングには何かアンケート用紙記入など 、特別の手順などありますでしょうか…? 込み入った質問で申し訳ありません。
※養育歴に虐待はありません。母も祖母も国公立大卒で知的な問題はないと思います。交友関係も広く人望があるタイプで発達障害も感じません。私は偏差値35前後の高校が最終学歴で、同僚や元カレに adhd の指摘を受けています。長文申し訳ありません。
□この質問は、Twitterによせられた質問をソレア質問箱に再録したものです□
まずこの質問をお読みして、文章もしっかりしていて、ここにTwitterから再録するときに若干手直しをしましたが、説明が分かりにくいところはひとつもありませんでした。そうすると、あなたに知的な問題はなさそうに思います。
■知能検査は必要なのか
知的障害かどうかは、最近は知能検査だけでは判断できなくなりました。どういうことかと言うと、知能検査でIQが60台だったとしても、それで軽度知的能力障害だとは診断できなくなったのです。知能検査で分かるものは、あなたの認知機能(学業スキル)に凸凹があるのか、得意なこと苦手なことは何なのか、その程度しか分かりません。
これから学業に励まないといけないお子さんなら、知能検査を受けるメリットはあるでしょう。例えばワーキングメモリーや処理速度が低い場合は、学校に働きかけてITデバイスを使うなど、合理的配慮をしてもらうことで苦手をカバーできるでしょう。
これから社会にでる大学生なら、知能検査から自分の凸凹に合わせた職業選択もできるかもしれません。
しかし、あなたが社会人なら、だいたい自分の特性というものは分かっているものです。それは話ぶりにも特徴的なものがあり、心理士なら相談者の話しぶりを聴いて、知能検査を実施しなくてもだいたいの知能指数を類推できるものです。知能検査はそれくらいのものとお考えになられるといいかと思います。
■どこでも診断できるわけではない
知的能力障害かどうかは、発達障害に詳しい専門医によってのみ正確な診断が可能になります。心療内科ならどこでもできるわけではありません。ですからあなたが心療内科でそのことを話しても、先生があまりピンと来ていないというのは、何もあなたの説明不足なのではなく、このような事情もあるように思います。
■読解力と学業不振
ちなみに私も小中高と国語の読解は苦手でした。点数が取れませんでした。しかし大学受験のとき点数を取れる方法に切り換えて、点数をとれるようになりました。
❶小説を興味をもって読めるようになること
➋国語のテストでは、一行一行をちゃんと味わって読み上げること
❸接続詞に注意すること
この3つが重要だと思います。❶は基本中の基本で、一生涯に渡るスキルになります。➋と❸は得点スキルなので日常的にはあまり使わないかもしれません。しかし心理職では重要なスキルになっています。人の話の一言に宿る言霊(ことだま)を聴き分ける作業をしていますから。
これらの国語能力がついてくると学業全体が底上げされるようです。ですから勉強では国語が一番大切だといわれる理由がここにあります。学業不振で成績が振るわない子どももたくさんいます。そんな子どもが❶ができるようになると、勉強への取り組みも変わるかもしれません。
しかし❶ができるようになるのはいつなのかは、なんとも言えません。私の場合は中学3年生、高校受験数か月前でした。いまでも覚えていますが、井上靖の「しろばんば」を読んでからです。なぜそれを読んだのか。高校受験生が読むといい本の中に紹介されていたのです。その小説以来、私の読書は大きく変わりました。➋と❸につながるのは大学受験のときでしたが、❶があったからこそつながったのでしょう。
学業不振と知的障害は別物だということです。
■知的障害と愛着障害
知的障害のある親御さんでも、子育てを一生懸命にされている方々はいらっしゃいます。そういう親に育てられた子どもは問題なく幸せに育つ場合もあります。社会にでるときにつまずくこともありますが、おおむね順調に流していけます。つまり愛着障害の傾向はあったとしても、それに囚われなくやっていけるのです。
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同じ愛着障害なのに、なぜこういう差が出るのか。毎日数人の愛着障害の方々に接していると、この差は複雑性PTSDの程度の差とも見えてきます。ルーツは同じですが、傷の度合い、傷の頻度が違うんですね。
質問者さんは「自分に知的障害がありそうで、それが子育てに影響し、子どもを愛着障害にさせそうで怖い」と思っていらっしゃいます。そもそも知的障害がある場合、そういう考えに至らないでしょう。
■カウンセリングで話すことが苦手な人へ
話すことが苦手だから内容をまとめてきてそれを見ながら話す人、それを読み上げる人、いろんな方がカウンセリングにやってきます。カウンセリングなどで説明に要領が得ない場合でも、気持ちなどを一生懸命に話してもらうことに大きな意味があります。ですから、メモを見ても見なくても、一生懸命に話していただければそれで十分です。
要領を得ないとしても、だいたいカウンセリングに来られる方は抑うつ感が大きいので、積極的に話しができません。そういう人が来る場所がカウンセリングの場ですので、遠慮はいりません。どうぞ訥々(とつとつ)とお話ください☺そうやって、カウンセリングの時間をあなたのペースで自由に使えるようになってくると、ご自身の話にまとまりが出てきていることに気づくでしょう。
■ポイントは5つ
- 知能検査が必要な場合は少ない
- 知的障害の診断は発達障害の専門医が行う
- 読解力不足は学業不振によることもある
- 知的障害の親でも子どもの愛着障害が問題にならない場合もある
- カウンセリングでは訥々(とつとつ)と話そう