昨年は質問箱はじめラジオで沢山学ばせて頂きました。noteも読み返す度に違った理解が広がります。お忙しい中いつもありがとうございました。
相談を失礼します。私はやるべきことから逃げてパチンコや飲酒などの嗜癖行動に逃げることをやめられません。それで自己嫌悪して鬱っぽくなるのに繰り返してしまいます。本やyoutubeを参考に生活を改めようとしても続きません。カウンセリングに数年通っても自分と向き合えてないのかなかなか変われません。
先日youtubeで整形/買物/ホストと様々な依存症を変遷した作家の中村うさぎさんが「依存症を治すには?」という質問に「気が済むまでやるしかない」と答えられてました。終始ユーモアと鋭さで飽きさせないお話ぶりでこんな聡明な人も依存症という手段の中を生きるんだ…と勝手に愕然としました。普通に考えて激しい依存行動の根っこは必ずあるはずで、このように冷静に自己客観視できる人物がそこに降りて行けないなら(意志を持って降りないと決めておられる感じもしましすが)私のような知性も内省もない人間が自分の心と向き合うことなんて、そうそうできないんじゃないか?と思いました。抑鬱感にまみれてる限り心の核心部に向き合わないで済むから手放せないのでしょうか。また、うさぎさんは「依存症が治ったら天国かと思ってたけど砂漠だった」とも言われてました。その砂漠とはどのようなものなのでしょうか。行き着く先が砂漠だとしても自己嫌悪と抑鬱のぬかるみを抜けるヒントを頂けたら幸いです。
①嗜癖行動→自己嫌悪→うつ という状態を繰り返しているとのこと、また②カウンセリングを継続しているとのこと。この2つのことができているので、あなたの依存症は良くなっていく可能性が十分にあります。
なぜなら①の状態を体験しているということは、ある程度精神発達が成されていると考えられるからです。自己嫌悪やうつ状態なしの嗜癖行動のみの状態ですと、気づきを得ることはできません。この場合、行動療法的に、マニュアル的に対処するしかなく、嗜癖刺激から遠ざかるのみしか対処方法がなくなります。これでは再発の可能性がグンと上がります。自己嫌悪しているならば、葛藤があるわけですので、気づき体験を得る可能性もグンと上がります。
嗜癖刺激から遠ざかるというのは基本だとしても、あなたの場合、行動を繰り返しているようですので、どうしたらいいのかと途方にくれることもあるでしょう。
その場合②が活きてきます。自己嫌悪しているときにカウンセリングを受けましょう。嗜癖行動が盛り上がっているときはカウンセリングは無理だとしても、落ち込んでいるときこそカウンセリングが利いてくるでしょう。
中村うさぎさんのいうように、嗜癖三昧をするのも意味のあることですが、これをやる場合もカウンセラーと一緒に行動することです。そうすれば、嗜癖行動をしているあなたも、「一人ではない」ことに気づくでしょう。この気づきがあなたを別の世界へ誘います。
しかし、脳機能の問題もチェックする必要があるかもしれません。双極性障害や発達障害の方々は不適応行動として、嗜癖行動へ逃げることもあります。この場合、それに適したカウンセリングや薬物療法が必要になってくるでしょう。
確かに嗜癖から抜け出したら蒼空かといえば、そんな簡単な話ではなさそうです。しかし薄曇りであれば、どしゃぶりよりもずっと良いと思います。そういう生き方を選択できるようになるためには、いくつもの葛藤を乗り越えていく必要があり、そのためにはカウンセリングが効果的でしょう。
■孤立しないこと
嗜癖行動に走る人は、ひとりで居ることが多いです。孤独を好むというよりも、社会から孤立しているのです。それが寂しくてヒリヒリするので嗜癖に走る。
ですからコミュニティ活動をするのも良いのです。自助グループにつながることも意味のあることですが、それよりももっと広い「社会」とつながることです。
ひきこもっていては嗜癖の温床から抜け出せません。社会へ開いていくこと。嗜癖菌がいるとすれば、社会とつながることが一番彼らが嫌うことです。
ひとりでなんとかしようとせず、孤立から遠ざかり、自助グループなども利用しつつ、人間的な関わりの中で回復されていってください。この「人間的な関わり」が大切です。人を傷つけるのも人、人を癒すのも人だからです。