ソレア質問箱(3/7)の質問箱末尾に添えられた心理レポートを拝読しました。全文通して非常に勉強になるのですが、愛着障害の面談は「超ヘビーな面接が続きます」についてお尋ねしたいです。
文脈的に直前の「恐怖ベースの葛藤であり、基底欠損(バリント)的な葛藤です。」だから「超ヘビー」なのだと思いますし何より、虐待カウンセリングであり語られるナラティブが重いとは想像できます。
ゆえに虐待カウンセリングはその研修を十分に受けた、或いは経験豊かな心理職が当たるべきと単純に思っていたのですが、高間先生が以前「新人の心理職はまず愛着障害の臨床で経験を積んでから愛着不全の臨床に入るといい」と仰ってたのが以外でした。
先のレポートにも愛着不全の面談の難しさは述べられており想像はできるのですが、愛着障害の面談が超ヘビー(でも新人でもカウンセリングできる)というのは、どんなヘビーさなのか…?と改めてお聞きしてもよろしいでしょうか?
例えば目に見える虐待のない愛着障害(情緒的ネグレクトのみ)だと痛ましい虐待が語られることはないので、基底欠損の概念を念頭に置けば新人の心理職でもカウンセリングできるとか…。
浅薄な質問に思いますが、御返事頂けましら幸いです!
また蛇足なのですが、こちらのレポートは2019年版とのことで、確か初版は10年程前のものと記憶しています。どんな点を新たに記されたのか、お聞きしてもよろしいでしょうか…?
カウンセリングには、次の2つのことが重要です。当たり前の感性と傾聴、この2つです。そしてこの2つは初心者カウンセラーでも持つことができるものなのです。
簡単にそれらを見ていきましょう。
- 愛着障害のカウンセリングではまず、「当たり前」の感性が必要とされます。
当たり前とは、目の前の人が語る物語を感情移入して聴くということです。これは普通の成人期の人ならできることです。カウンセラーは原則として、精神発達が成人期であることが期待されていますので、感情移入はできるでしょう。
その上で、巻き込まれない技術が発動し、困難な話であっても、ずっと聴いていられます。この辺になると、初心者にはムリな世界になりますが、感情移入はできるので、愛着障害の相談者に、スーパーバイザーと一緒に対応していくのが良いでしょう。
- 次に傾聴技術が必要とされます。
傾聴とは、言葉をさしはさまずに、集中して相手の語りに寄り添って聴き続けることです。カウンセリング初心者には、これは比較的できるかもしれません。注意しないといけないのは、初心者ゆえ、関係が慣れてくると、つい余計なことを口走ってしまいます。そこでこれまで作り上げた関係が崩れてしまいます。
ですから、聴き続けるということは難しいことなのですが、とにかく口をつぐんでいることは初心者も頑張ればできることなのです。ですから、初心者はまず愛着障害のカウンセリングから始めるとよいというのは、カウンセリングで最も大切である技術=傾聴について深く学べるからです。
また、心理レポートは2019年版が初版になります。2009年ころには書いていません。何か別の記事の話なのかもしれませんね。似たような記事は書いていますから。