養育者の脳機能障害以外でも愛着障害になることはありますか?例えば1歳くらいから母親が病気による入院や、弟や妹などが病弱で産まれて母親がかかりきりになるなどして、情緒交流が満たされない場合など。
愛着障害の原因は、養育者の脳機能障害の要因は大きいです。脳機能の問題は、発達系だけの話ではなく、統合失調症、躁うつ病、高次脳機能障害なども含まれます。
質問者さんは、それら以外でも愛着障害になる場合があるのか?というご質問ですが、答えは「あります」。しかし正しく理解するにはかなり専門的な知識が必要です。まずは質問者さんの想定事例を考えてみましょう。
- ➊1歳くらいから母親が病気による入院
- ➋弟や妹などが病弱で産まれて母親がかかりきりになる
この2つの事例ですが、まず前者から。母親が入院してもそれまでに築いた愛着があるわけで、また入院しても母親との接触が阻害されているわけではないと思います。母子関係がどれだけ入院で希薄になるのか、その評価も必要でしょう。
後者は、子どもが病弱で生まれてかかりきりになるということなので、子どもに対しての愛着はあるのでしょう。そうなると当人への愛着も切れてはいないと想像できます。
愛着関係があるのかないのかは、このように簡単に判断できないところがあります。判断しにくい部分は、そのことを常に自問自答しながら少し長めの見立て期間を作っていくことが必要でしょう。
- ➌母親が愛着不全(成人学童期)の場合は、母親は脳機能障害ではありません。さらに母子間の愛着は不完全ながらも存在します。しかしこの関係において、子どもに対して情緒的ネグレクトがある場合は、虐待関係に置かれています。
この3つめの事例は質問者さんのいう「養育者の脳機能障害以外でも愛着障害になる」ケースといってもいいでしょう。しかし愛着不全の親による虐待のケースは稀ですし、ここを拡大解釈してしまうと、いまハヤリの毒親ブームに乗っかって、臨床からどんどんと離れていってしまうので、心理職の人は注意してくださいね。
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いつもご多忙にも関わらず詳細なご説明をありがとうございます。
>ここを拡大解釈してしまうと、いまハヤリの毒親ブームに乗っかって
仰る通りで、専門家・疾患当事者関係なく、ネット上に日々更新される情報を追ってると拡大解釈の認識にひっぱられて混乱しての質問でした。当ご回答とまたバックナンバーを再読し愛着問題への理解が整理・修正できました。