少し前の質問箱についてですが、愛着障害について❶社会生活ができる場合と、普通の愛着障害のように➋社会生活に支障をきたしていく場合があります。とありました。
これが兄弟間で、例えば片方はうつ病で引きこもっているが他方は社会的に成功し、人間関係もこなしているなど差が出た場合、どのような原因があるのでしょうか?
根底にある虚無感みたいなものは同じだと思うのですが…それに気づいてしまった、自己欺瞞で気づかないふりをしているなどの感受性の強さも関係するのでしょうか。
愛着障害であっても愛着不全であっても、そういう家庭環境なら、兄弟は同じ愛着環境で育ちます。ですから根底に抱えているものは同じです。
しかし外から見ていると、ひとりはひきこもっている、かたやもうひとりは成功している、全然違う2人に見える場合もあります。
この場合、成功しているようにみえる方は、がっしりと自分の気持ちを塗り固めていることが考えられます。
たとえば愛着不全の家庭で、振り向いてもらえないというガマンをがっしりと強いられると、自分の気持ちを出さなくなり演技で生きるようになり、十二分に演技することで社会的に成功している人もいます。
そういう人にとって上の兄弟は、途中まで甘やかされていたけれど、下の子ができて愛情が潮がひくように引いていったことを経験しているため、ガマンができない状態で放り出されるわけです。すると演技もする気力もなくひたすら失った愛情を求め続け、ひきこもりになります。
愛着障害の場合も同じです。たとえば学校などでよい友だちや先生と出会うことで、自分に対してわずかばかりの肯定感を得ることができます。よいパートナーと出会うこともそうですね。それらの人間関係をバネにして生きて成功している人もいます。
友だちや先生、パートナーは選択できません。運命の采配です。ここは兄弟間で差ができるところですね。
しかし内面は兄弟とも愛着障害ですので、両者苦しい人生を歩むことには代わりありません。
兄弟のどちらかが脳機能の問題があるとすると、話は違ってきます。脳機能に問題がある方にとっては愛着の影響力は少ないでしょう。しかし脳機能の問題があっても安定した愛着の中で育つのが良いことには変わりありません。
安定した愛着によって彼らの自己肯定感が高まり、よりよい人生を歩むことができるでしょう。