いつもありがとうございます。
昨日のnote、stand.fmで、「この差は複雑性PTSDの程度の差とも見えてきます。ルーツは同じですが、傷の度合い、傷の頻度が違うんですね。」とのことは、愛着障害(基底欠損)という事実は一緒でも、症状にグラデーションがあるということでしょうか…?
たとえば、激しく常態的な希死念慮やそれに伴う行為がある人も居れば、人間関係を回避する程度で収まってる人も居るなどでしょうか?そしてこれはnoteのリンク文にあるように養育者の性質(暴言暴力の有無など)によるということでしょうか?ですが、ファンタジーの強弱の回のご説明ですと、専門家すら判別が難しい情緒的ネグレクトが主な愛着障害ですとファンタジーは強くなり壊れにくいとのことで、激しくない長患いか、激しいが適切な治療で着実に治っていく、という違いを想像したのですが…、誤読でしたら、ご指摘頂けましたら幸いです。
質問が冗長になってしまいましたが、質問主旨は、タイトル通りです。愛着障害には、どんな症状のバリエーションや違いがあるのでしょうか?ボーダーラインのような激しいタイプと普通よりむしろ穏やか(起伏のない)タイプがいるのでは…と以前から考えておりまして。
どんな病態にもグラデーションは存在します。例えば、軽いうつ病から重度の遷延うつ病までグラデーションが存在します。うつ病の場合は、自分の構築した倫理規範に合致しない状況が現実に迫っており、それで抑うつ状態になります。この倫理規範がどういうものかは個人によって異なりますので、うつ症状にもグラデーションが出ます。
同じように愛着障害の症状にもグラデーションはあるのです。
■愛着障害の症状のグラデーションを考える前に
さて愛着障害かどうかを見立てる際には次の2つのことを考慮に入れていきます。
- 症状(周辺)
- 生育歴(中心)
この2つはどちらも落とせません。
・症状から生育歴へ
生育歴があやふやな感じでも症状が明らかに愛着障害を思わせるものなら、愛着障害という見立てで進みます。生育歴があやふやというのは、母子関係がはっきり見えてこないということです。こうやって症状を辿っていくことで生育歴の中から明確な(虐待の)根拠が浮かび上がってくるでしょう。
あわてずに周辺から中心へ辿っていく感じです。これは治療者にとってはかなり重要なスキルになります。1年以上かかる場合もありますが、カウンセラーがしっかりと話を聴き続けることです。
以前どこかで話ましたが、ブラックホールの検証のようなものです。「それは見えないが確かにそこにある」
・生育歴から症状の治療へ
生育歴から明らかに虐待であることがわかる場合は、迷うことはありませんので、粛々と治療を進めることになります。こちらもあわてずにいきましょう。
■愛着障害の症状のバリエーションはどこから来るのか?
愛着障害の症状といってもたくさんあって一口に申し上げられませんが、ヒントとなるものはあります。それはDSM-5をみれば分かります。
- (複雑性)PTSDである
- 解離が主たる病態である
この2つをチェックしながら相談者の話しを聴いていくことです。すると相談者の症状がしっかりと見えてくるでしょう。その結果、上で申し上げたように、症状から生育歴へ向かうことができるでしょう。
解離についてはかなり幅広い概念です。ボーっとしていることから、自分の人生の全記憶を消失する、別人格が出現するまでの幅があります。離隔か区画化か、それによってバリエーションはあります。ソレアの記事も参照ください▽
解離についてはかなりの勉強が必要と思われます。まずは下記専門書から学んでください。