お世話になります。
母親がMRかどうかを確かめるために、親族にいろいろ質問しようと思っています。
これがわかったら判断しやすいなどがありましたら、それらの内容をいくつか挙げていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
これはとても難しい質問です。専門家でさえも、それができずに悩んでいるわけですから。
■実際の知的障害の判別方法
知的障害(MR) というのは、実際にどのように判別されるのかというと、まず知能検査のWAIS(ウェエイス)を取って、だいたいの当たりをつけます。
なぜ知能検査だけから判断できないかというと、
- PTSDを受けている場合は正しい測定ができない
- DSM-5から知能指数だけでは知的障害と断定できなくなった
ですから、まずWAISで当たりをつけて、専門家(主に診断をする医師)が当事者の不適応行動などをチェックしながら問診を重ね、その結果、知的障害かどうかを決定します。WAISは2時間くらいかかります。
最近では不適応行動をチェックする vineland-ii という心理検査を導入しているところもあります。これは本人ではなく、本人のことをよく知っている人に対しての聴き取りのようなものです。vineland-iiも90分くらいかかります。
同時に発達障害についても査定・決定していきます。
■愛着の専門家による判別方法
愛着に詳しいカウンセラーですと、対象者の言動を細かく聴いていく中で、おおよそどのくらいの知的レベルかを判断つけます。どのくらいのレベルを判断するのかというと、
- IQ50以下
- IQ60程度
- IQ70程度
- 境界知能
- 発達障害があるかどうか
これらは何か質問があるわけではありません。質問してしまうと誤った見立てになる場合が多いからです。
質問というのは「聞く」行為です。聞いてしまうと、相談者はその質問にひっぱられて、そういえばこれもそうだ、あれもそうだ、ということになりかねません。これでは情報が荒くなってしまいます。
よくある行動に、例えばパーソナリティ障害の研修を受けた人が、その研修後、見る人見る人、パーソナリティ障害に見えてしまう、という笑えない話があります。専門家でさえ引っ張られるわけなので、普通の人は簡単に見誤ってしまうでしょう。
ですから専門家は質問せずにひたすら「聴く」のです。その中から、弱い電波を拾い上げるように、知的障害かどうかにかかわる訴えをキャッチしていくのです。そうやってキャッチしたものには信ぴょう性が宿ります。
■相談者が注意できるところはないか?
そうはいっても、あなたは親族に母親のことを聞きたいわけですよね。次のようなことを聞いてみて、その情報を愛着の専門家に投げかけて意見をもらってみてはいかがでしょうか。
信ぴょう性は落ちますが、判断材料の1つにはなるかもしれません。
- 母親をよく知っている人に聞く。たとえば、母親の兄弟、母親の母、母親の友だち
- 母親の変な行動はなかったか。不適応な行動を含む。
- 兄弟とは違った行動はなかったか
- 母親があなたを育てていたときはどんなふうに育てていたのか。
たとえばヒステリーっぽかったか、放置があったか、あなたの反応に対して無反応だったか? - 育児不安、育児ノイローゼはあったか。あった場合は、母親あるいは周囲はどのように対応していたのか。
いろいろチェック項目はありますが、あまり突っ込んで聞くと、この子は母親のことをよく思っていないのでは?と思われて、兄弟として母親を擁護する側に回って、情報に色がついてしまうかもしれませんので、慎重に尋ねてみることでしょう。