・思春期の愛着障害と愛着不全の見分け方
かりそめの思春期では親密が怖いと認識していない状態とのことでしたが、具体的にどういった心理状態なのでしょうか?
例えば、友達とワイワイ騒ぐのが好きと思い込んでいるが自分からは誘わない、約束の日が近づくとドタキャンしたくなる、数時間一緒に過ごすとイライラしてくるとか、自分から恋人を作りにいくけど性的な面で惹かれていることを愛情だと勘違いしている、など。
また、何事にも常に受身なのは、見捨てられたくないからなのか、自己の存在を確立できていないことによるのか、どのように見分ければ良いか、ご教示いただけますと有難いです。
・愛着障害の原因
泣いたら抱っこはしてくれるが大丈夫?や怖かったね、など共感する言葉をかけてもらえなかった=身体的接触はあるが情緒的交流がなかった場合も愛着障害になりますか?
また、親とあまり目を見て会話をした記憶がないのですが、これは愛着形成に影響を及ぼしますか?
質問が多くなり申し訳ありませんが、お答えいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
かなり専門的な質問ですので、回答は心理職向けです。
■思春期の愛着障害と愛着不全の見分け方
これはご本人を見ていても分からないと思います。かなり似たような言動をとるからです。
この場合はジェノグラムを見ることです。つまり親子三代の家系を整理して親や祖父母の見立てをしっかりと立てることです。それが立てば、ご本人の見立てもしっかりとしてくるでしょう。
ざっくり言うと、
- 親が愛着不全なら子も愛着不全
- 親が脳機能に問題がありそうなら子は愛着障害(思春期)
このやり方が誤診しないための最適な方法でしょう。これを繰り返していく中でご本人だけを見て、判断がついてくるようになると思います。
心理職でも親の見立ては間違うこともあります。そのくらい難しいことですので、ご自身で振り返る場合は訳が分からなくなることもありますので、愛着障害か愛着不全か限定せずに、「愛着に問題ありそう」くらいにとどめておいてください。
■愛着障害の原因である情緒交流について
身体的接触はあるが情緒的交流がなかったように見えるのは、母親が気もそぞろで抱っこしていたということでしょうか。
子どもにとっては情緒の反応が返ってこないので心配になりますが、次のような母親の状態像が考えられます。
- 子どもに意識は向いているけれど、母親の抑うつ状態によって子どもに集中できていない
- 子どもを抱っこしたのはいいが、これからどうやればいいか分からない。目を見ることができない
- とにかく抱っこだけはしようと抱っこする
情緒交流の判断は難しいです。それだけで捉えようとするとミスリードしますので、こちらも母親の見立てが重要になってくるでしょう。
母親の言動を子どもとの関係だけでなく、もっと日常全般的に、母親の生育歴も含めて、見直すことで情緒交流の有無が見えてくるでしょう。