葛藤の解消は弁証法的に説明されますが、止揚の瞬間はブラックボックス的に解説されて分かりづらいでしょう。葛藤の解消は、感情の流れからみると休戦協定を結ぶようにも見えてきます。そちらのほうが理解しやすいかもしれません。
Mrs. Green Appleのアウフヘーベン
Mrs. Green Appleというロックバンドにアウフヘーベンという歌があります。アウフヘーベンとは聞き慣れない、なんだか難しい言葉ですね。ドイツ語で止揚(しよう)という意味です。でも止揚と言っても分かりませんよね。ドイツの哲学者ヘーゲルが弁証法という方法論の中で提唱した概念です。揚棄(ようき)とも訳されています。
AとBという互いに矛盾するものが対立と闘争の過程を通じて、発展的にCというものに統一されること。これが止揚であり、心理学的に用いられる弁証法を指します。つまり葛藤の解消ということに他なりません。
弁証法は心理療法として、リネハンの弁証法的行動療法などでもおなじみですね。もともとは葛藤の解消という意味で使われています。
葛藤が解消する
YouTubeの図を見てください。正―反 これが葛藤状態です。この葛藤を通して「合」に至ることが葛藤の弁証法的解消でした。正でも反でもないところに到達することです。
〇学校にいかないといけない(正)
●学校にいきたくない(反)
この二つが自分のこころの中でぶつかっていくなかで、
△学校いかなくてもいいから音楽スクールにいこうかな(合)
これが葛藤の解消です。
しかし、この正―反―合で行われていることはブラックボックスなのです。何がそこで起こっているのか分かりづらい。そこで私なりに考えてみました。まず、
〇学校にいかないといけない(正)
●学校にいきたくない(反)
この2つの葛藤が繰り返されます。このぶつかりを通してこれらの気持ちがダウンしてきます。諦めの感情が入ってきます。
諦めに到達するまでには、他の感情も体験していく必要があります。
不安→怒り→恐怖→悲しみ→諦め
〇と●を交互に体験していくなかで、これらの感情を体験することになります。そして、〇と●に対して諦めが滲み出て来ます。
諦めが出てくるまでは、時間はかかります。諦めることができると、「学校いかなきゃ」の気持ちが冷めて、「学校いきたくない」も冷めていきます。そうやって〇と●が弱まってくると、手を握る瞬間が来ます。〇と●が休戦協定を結ぶのです。このときが葛藤の解消です。
正―反―合はダイナミックな動きなのでワクワクする理論ですが、実際は休戦協定が感情的に結ばれることのように思います。つまり〇と●が痛み分けをして△に至るわけです。
諦めという感情を基盤にした休戦協定がアウフヘーベンなのです。休戦協定ですので、〇と●はまたレベルアップしてバチバチやることもあります。それは仕方ありません。
この休戦協定とは何であるのか。思春期の母子葛藤の解消と同じでしょう。母子葛藤は、人(母)と人(子)との葛藤の話で分かりやすいです。今回の葛藤の話は個人内の話ですが、母子葛藤という個人間の葛藤と類似するものであると言えるのです。
安全な空間の中で傾聴され、自由に葛藤を話して整理したいときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ。
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