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ソレア心理カウンセリングセンター

2019.10.16 |こころカフェ

デパスは母の唯一の形見★ベンゾジアゼピン 耐性 離脱 さいたま






向精神薬にはそれはもう色んな薬があります。危険なもの(十分な管理の必要なもの)から気軽に飲めるものまで(失言ですね、気軽には飲めないですね)あります。今回はデパスの話です。





デパス





デパスは、ベンゾジアゼピン系の類似物とされる、チエノジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬です。日常的にかつては様々な領域で気軽に処方されていましたが、最近は管理が求められている薬物です。依存性が強く安易な処方は避けられるようになりました。処方しても1か月をメドに減らしていく処方が推奨されているようです。





半減期は6時間で短時間作用型の睡眠薬です。一日量0.5~3mg。





注意点はベンゾジアゼピンと同等です。依存に注意を要する薬物で、一度に処方できる量は30日分までに制限されています。急に中断すると、不安や不眠が急激に生じて、強い離脱症状が現れます。離脱症状とは、イライラ、動機、めまい、嘔吐などの副作用のことです。減量や中止は進めるべきで、量を減らしたり、長時間作用型に変えたりします。





薬を止めると離脱症状がでることを、身体依存といいますが、身体依存を引き起こす物質として、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、アルコール、ベンゾジアゼピン、バルビツールなどがあります。コカイン、大麻、覚せい剤は身体依存はありません。それを急にやめても後遺症は出ませんが、それらは強い精神依存を引き起こし、それらがほしくて仕方なくなります。ベンゾジアゼピンにも若干の精神依存があります。長期投与で効果が減少する、つまり薬の量がどんどん増えることを耐性といいますが、ベンゾジアゼピンは若干の耐性もあります。(精神診療プラチナマニュアル・松崎朝樹より)





母の形見





その人にとって、時々消え入りそうな気持ちになるとき、デパスが一番効くようです。「母がくれた唯一の救いの手がデパスでした。デパスは母の形見なんです。母がテーブルにザァーとデパスをばらまくので、それを一粒、二粒いただくのです。」





母の薬ということでその人の不安が納まる。デパスが効いているわけではないのです。母への強い思いが効いているのでしょう。それはファンタジーと言ってしまえばそれまでですが、その人にとっては何か生命線のようなもので、そういうものであれば、それは飲み続けてもいいのでしょう。身体依存も耐性もオーケーにしておくべきなのでしょう。





その人は続けます。「精神科医と話していて、分かってほしいとき、愛情を求めるときに私は、薬をくれという表現しかできないのです。」精神科医には決して言えないけれど、そのことは精神科医も分かっているのです。分かっていることをその人は知っているので、そこへ通い続けられるのです。それは精神科医の処方する薬と母親というイメージが結びついているわけですが、それはその人が窮地を乗り越える方法なので、飲んでいてもいいのです。





デパスを止めようという話ではなく、回復のためにはデパスへの依存が必要なのでしょう。デパスはその人にとっては薬ではなく、甘えなのでしょう。それが欲しい。





デパスではなく、一緒に処方されている抗うつ薬の話になりました。「2剤処方されているので、1つを変えてもらいました。別に変えてもらわなくてもよかったのですが、強い薬に変えてもらいました。それを私が飲むことはないのですけどね。」その薬は致死量が少ない薬です。つまり本気で大量に飲んだら死ぬ薬です。





そこでセラピストはしょーもない質問をします。胃腸薬ではダメですか。「胃腸薬ではダメで、特別な薬でなくてはダメなんですね。こちらから少し危険な薬を処方してもらいました。」その人は薬のプロなので、薬のことは精神科医よりも詳しいのです。そして、その人の要求を呑んで、精神科医はその薬を処方します。そういう薬を処方してくれる精神科医に甘えているのでしょうが、その人にはそういう甘えが必要なのです。





そして、そのように処方する精神科医の肝も座っているのです。なかなか悪くない関係性です。


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