子どもの反乱によって教えられる親【自分の親について考え始める】

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子どもの成長を通して、親が子どもに教えられることは多いですが、今回は親子関係で苦労している親と子どもの物語です。

その相談者の方は、子どもから激しい攻撃を受けています。メールやLineや電話攻勢です。「もう凄いんです。電話でも虐(待)女と言われています。」もう数年間、子どもとは別居状態の方です。

子どもは「あなたの友達が来た瞬間に、あなたの私への態度は変わる」と攻撃します。その方は「私はあの子に殺されるまで、この攻撃は終わらないんだ。」途方に暮れています。

親子関係が完全にねじれてしまっているのです。

その中で、その方は次の2点について気がつかれます。子どもに気づかされた訳です。

(1) 私は、誰かが来ると、すぐ自分のこころが揺れ動き始めます。子どもに話を集中していても、気もそぞろになって、他人の目を気にしてしまうんですね。そのことがよく分かりました。

(2) 自分は温和な性格と思っていましたが、実はそうではなくて、たくさんの不満を持っています。しかし不満なんてないと、感じることをしないで処理してきたんです。これらの不満は、小さなもの、大きなものたくさんあって、これに気づくと処理が大変になるから、気づく前に、この不満はパートナーのせい、これは娘のせい、これは息子のせい、これは母のせいと、周りの人のせいにしてきました。自分のせいにはしてこなかったことが良く分かりました。あの子は、このことを責めてくるのです。

ここで語られる二つのことは親子関係において重要なことです。この二つのことを、この方は気がつかれたのです。この二つがないと親子関係は正常にはなりません。正常な親子関係では、親は、人の目など気にせずに子どもに対応できますし、人のせいにはせず自分のせいにします。この親としてのポジションを取れることで、子どもに対して責任をもつことができ、親子関係は正常化するのです。

子どもの攻撃は、さらに、その方の根本にまでたどり着きます。「子どもの頃、あなたに無視されたことを、その場に居たあなたの母親(祖母)に言ったら、祖母は何も言わなかった。あからさまに私を無視した。あたなの母親は、そんなふうな意地悪な親なんだよ!」

その方は、自分の母親を「崇高な人」と位置付けています。「その座から引きずりおろすことなんかできない」と、頭を抱えました。子どもへの気持ちと自分の母親への気持ちの両方に引き裂かれてしまいました。暗い闇の中へ投げ込まれたように感じています。

このように、子どもとの関係を振り返る中で、自分と親との関係に辿りつく人もいるわけです。人によっては、そこまで行けない人もいます。そこへ行くのは多大なリスクを負うことになるからです。何がいいのかは分かりません。リスクを回避するという方法も当然あるでしょう。人は自分の人生を自分で生きていかなければならないからです。

しかし、子どもは親に、それをすると子どもはどうなるのかと考えても欲しいのです。それは親に対する子どもの切なる願いです。できる、できないと、親は葛藤します。(葛藤する手前の親もいます。)子どもはそれを見ています。そして親と一緒に苦しむか、親に早々に見切りをつけて離れていくかの選択をします。この選択は、そう簡単にはいきませんが、そのような道を結果的に進むケースが多いのは確かです。

この話に出てきた子どもは、まだ親に見切りをつけていません。親と一緒に苦しもうとしています。そして親はようやくそれに気がついた。これからが、親と子双方が、正念場を迎えるのです。カウンセラーは何も言わずに、それを目撃し続けるのでしょう。カウンセラーもそこから逃げてはダメなのです。

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