母と子の愛着ベースの攻防戦★母子葛藤

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葛藤とは感情のもつれです。それが母と子の間で起こることを母子葛藤といいます。この感情のもつれですが、これは母子間にちゃんと愛着があることが前提です。愛着があるから怖がらずに子どもは母親にぶつかれるのです。怖がらずに母親が与えてくれたルールに挑戦していくのです。ですから愛着が切れている母子間には葛藤というものは存在しません。そこにあるのは、子どもから母親への恐怖です。それは葛藤とは言いません。

ですから母子葛藤というものは、愛着のある世界を前提としています。子どもは愛着というパイプを通して、養育者から生きるためのルールを吸収します。このルールは倫理規範ともいいます。そしてそれに従って生きているのが学童期です。次に、彼らにはその倫理規範を自分のものにする作業が待っています。それが思春期です。

10歳~20歳~25歳くらいまで。そのくらいの長い年月をかけて、そのルールを壊していき、自分のこころの中にほどよくフィットさせる作業をします。そのために親にぶつかってきます。親は子どもからの挑戦を受けて立ちます。両者にらみ合って、一触即発。そういう時期もあるでしょう。その時期を通して、ぶつかり合いながら、両者痛み分けをしていきます。

そこまでくるとそのルールは子どものこころの中にフィットする形になります。自分のこころに内面化することが可能になります。これが社会的アイデンティティの獲得ということです。こうやって思春期を通り抜けて、成人になっていくこと。そのために必要不可欠なものが母子葛藤ということです。

もちろん学童期に親から吸収したルールがマイルドなものであれば、こころの中に入れることはそんなに難しいことにはならず、マイルドな思春期となるでしょう。それは人それぞれなのです。

では愛着が切れている母子関係の人々がどうやってアイデンティティを形成するのか、あるいはそれは可能なのか。どうやって彼らは自分の倫理規範を構築していくのか。それは母子葛藤とは全然違う道を通って、彼らの人生は展開していくのです。

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