パニック障害からの回復(ソレア心理学ゼミ006)

この記事は約3分で読めます。

芸能ニュースでは、ジャニーズ事務所 Sexy Zoneの松島聡とKing&princeの岩橋玄樹の二人がパニック障害で一時休業することになりました。ナイナイの岡村隆史や長島一茂、星野源やIKKO、堂本剛も経験したことのあるこの病気について、いま一度まとめておきたいと思います。

パニック障害とは不安障害の一つで、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内にピークに達して、このまま死んでしまうのではないかという強迫観念に襲われ、同時に動悸、発汗、めまい、窒息感、離人感などの症状が出現します。この発作は、いつやってくるか予期できぬもので、極度の不安やストレスにさらされたときに起こりやすいと言われますが、不安から起きるばかりでなく平穏なときも起きる可能性があります。

厚労省の調査によると、パニック障害を含む不安障害は10人に1人は罹るという、ポピュラーな精神疾患です。

治療法は、対処療法的には抗不安薬による薬物療法がありますが、根本的な治療としては、カウンセリングによってパニックになりにくい状態にこころを底上げしていくことが行われます。なぜ薬物療法が第一選択肢とならないかというと、パニック発作が起きないようにすると人のこころは不安になるからです。抗不安薬を使っていながら不安になるとは、皮肉めいたジレンマのようですが、人のこころはそれほどまでに複雑だということです。

実際には、次の2つのことを行いながら、克服していきます。この方法は精神科医の高橋和巳先生に、数年前に教えてもらった方法です。これでパニック障害を治療すると、治癒率が非常に高くなる優れた方法です。カウンセラーの方々に特別に公開します(笑)。一人でも多くのパニックの方を治してあげてください。

まず一番大切なことは、相談者の怖かったという気持ちをカウンセラーが受容することです。薬を使わずに発作が鎮まるのを待つことが大事です。そうやって発作と仲良くなることです。その後、発作が納まるプロセスをじっくりカウンセラーが聴くことです。怖い状態を相談者が言語化するのをじっくり聴いて、「それは怖かったね」と受容する。そうやって怖さを受容してもらう体験を重ねていくと、発作が起きる回数が減っていきます。そしていづれその発作は消滅します。相談者がパニックになったという話を否定せずに、認めてあげながら聴いていることです。「また発作が起きた。あ、消えた。」その体験を繰り返し聴いていることです。

次に、それが発作がどこで消えたかを確認することです。カウンセラーはその都度「消えたね」と受容する。その確認作業を楽しむ。例えば、建物から出たら楽になったを相談者が言語化したとします。カウンセラーは、どのへんで楽になったかを詳細に聞きます。玄関から10m出たところ、そうやってどこで消えるかを明確にしていくこと。これが第二に大切なことです。同時に、いつ、薬を何錠飲んだかも確認します。薬が効くまで20分はかかるので、その前に楽になっていたとしたら「それは薬のせいじゃないよね」と、フィードバックします。「良かったね。薬効いてないよ。」とフィードバックします。こうやって薬が効いてないことを確認することが大切です。逆に、薬をちゃんと飲まないと治らないよ、とフィードバックすると、それは行動療法でいう強化になり、治るものも治らなくなり長期化してしまいます。

パニック障害をもっている人々は、頑張って生きてきた大人の人々です。「頑張らないとマズイ、でも頑張れない、どうしよう。」人生を真面目に生きてきて、そのせめぎあいの境界でパニックになるのです。ですから、カウンセラーはしっかりと受容してあげることです。それによって相談者は、よく頑張ってきたな自分、と思えるようになり、その自分に哀しみさえ感じるようになります。相談者はカウンセラーに、生きる大変さを受容されて、そんな自分に涙をします。そこまで来るとパニック発作は小さくなって、パニック障害は治癒します。

タイトルとURLをコピーしました