お悩み相談室

ソレア心理カウンセリングセンター

2018.09.28 | YouTube

虐待に関するPTSDの分類(ソレア心理学ゼミ004)



今回は、

(1) 反応性アタッチメント障害 Reactive Attachment Disorder
(2) 脱抑制型対人交流障害 Disinhibited Social Engagement Disorder

これらについて話しています。

この2つは、PTSDの障害なのですが、正確には Complexed-PTSD(複雑性PTSD)と呼ばれるものです。これは単一の心的外傷ではない、複数の継続的な心的外傷である、ということを表現した言い方です。継続的な心的外傷とは、虐待のことであり、虐待はPTSDである、ということを診断基準として明らかにしたということです。実に画期的なことでした。

それまでのDSM-IVでは、これらの障害はPTSDのカテゴリーに入っていませんでした。それが今回のDSM-5の改訂では、PTSDにようやく入ったわけです。以前からこの議論はあって、それがようやく実ったことになります。

次のDSM-6では、パーソナリティ障害というものが一掃されるかもしれません。現在は3つの群に分かれていますが、今回、一つの群が統合失調症へ統合されました。残りの2つの群も、それぞれ適切な精神症状へと吸収されそうです。故郷へ帰るというか、パーソナリティ障害というのは20世紀の夢幻であったと記録されるのでしょう。

話がずれました。この2つのC-PTSDは、どちらも愛着障害という名前で流布されています。そっちのがなじみの名前ですね。

反応性アタッチメント障害は、他人や養育者へのむき出しの恐怖があります。安心できないのです。一方、脱抑制型対人交流障害は、見慣れない人に近づいてベタベタした行動を取ります。そこに警戒やためらいはありません。この2つの症状は真逆のように思われますが、そうではありません。表現は違いますが、どちらも人が怖いのです。反応性アタッチメント障害はそれが素直に表現されているだけです。

脱抑制型対人交流障害は、人の区別なくくっついていくので、フレンドリーで愛着を形成しているように見えますが、そうではないのです。近寄っていって、これ以上はマズイと思ったら、そこで躊躇なく愛着関係を切るのです。人が怖いから愛着関係を作れない、愛着を作る前に切る、こういう心情が根底にあるのです。

こういう人が成人になると恋愛依存のような行動を取ることがあります。何人もの異性と同時に付き合うのです。そして、近づきすぎると怖くなって関係を切る。子どものときは、接近―切断スピードが早かったのですが、大人になると関係性が複雑になり、疑似的な社会性も相まって、接近―切断スピードが長くなっているので、依存症なのか脱抑制型対人交流障害なのかは判別が難しくなります。
これは依存ではあっても、普通の恋愛依存とは違うということです。治療は、依存症の治療ではなく、愛着障害の治療になる、ということです。

■原因
どうして、このような愛着障害になってしまうのか。それは次の3つの原因が考えられます。

(1)2歳ころまでの基本的信頼感を形成する時期に、養育者との情緒的なやりとりが欠落していた。これを社会的ネグレクト(心理的ネグレクト)と言います。

(2)複数の養育者(母親)が居た。例えば、里親による養育の頻繁な交代など。
(3)一人の養育者に対して子供の比率が高い場合、愛着を形成する機会が制限されることになる。例えば、養護施設など。

養育者(母親)との情緒交流は特に大切です。養護施設や里親という立場になった場合、そういうことも起こりうる可能性があるということで、必ずそうなる、というわけではありません。そういう環境での育ちよりも、情緒交流が欠落していたといことが、子どもにとっては重大な影を落とすことになります。
ソレア心理カウンセリングセンター